朝食べるパンの代表格はやはり食パンだと思います。
ここでは基本のパン生地で食パン型の1斤型を使って国産小麦100%の角食パンと山食パンを1斤づつ作ります。
食パン型(1斤型)を使いますので、必ず事前に用意しておいてください。
パン型については「パンづくりの道具」で説明していますので、ご覧ください。
= 目 次 = |
①食パンを作るために仕込む小麦粉量について |
②食パンの生地の分割 |
③食パンの型の準備 |
④食パンの成型の前に押さえておきたいポイント |
⑤食パンの成型から発酵 |
⑥食パンの焼成 |
⑦角食パンと山食パンの出来上がり |
食パンを作るために仕込む小麦粉量について
生地は基本のパン生地の作り方で前日に仕込んで冷蔵発酵しておきます。
基本のパン生地のつくり方は「基本のパン生地」で紹介していますのでご覧ください。
仕込む小麦粉量は使う生地量を考えて仕込みます。
1斤型1本で500gの生地量を使うので1斤型1本だけ食パンを作りたい場合は小麦粉300gで仕込めば合計生地量≒出来上がりの生地量が約528gなので足りるかと思います。
今回は山食と角食で1斤型2本使うので小麦粉600g(合計生地量1,056g)以上で仕込むのが良いでしょう。
食パンの生地分を取って余った生地は他のパン(丸パンやロールパンなど)にするか、ちょびっと余るくらいなら食パンに混ぜてしまっても問題ないです。
私はいつも計算するのが面倒なので、小麦粉800gで仕込んで食パンで使う分を取った後、残りの生地は別のパンを焼くことが多いです。
食パン生地の分割
生地は前日に仕込んで冷蔵発酵させているのを使うので、焼く当日は生地の分割からスタートします。
生地を捏ねるところからやらなくて良いので随分楽ですし、時間もそこまでかかりません。
朝から始めれば午前中のうちに焼けます。
【1】分割の前に手粉を用意します。手粉は小さめのボウルなどに手粉用の強力粉を入れておきましょう。手粉は生地が作業台にくっついたり手にくっついたりするのを防ぐために使います。
【2】冷蔵発酵後の生地はこんな感じです。
※小麦粉800gで仕込んだものです。
【3】手粉を少し手でつかみ取って生地を出す作業台に薄く広げます。その上に生地を容器から出します。容器の壁にくっついている分もスケッパーなどを使ってなるべく容器に生地が残らないように出します。
【4】分割すると同時に生地を計量していくので、写真のようにクッキングスケールに、空いた容器を乗せて、その上で生地を計ります。
●クッキングスケールが汚れないためとクッキングスケールの上に載せた生地がドローンと落ちたりして量り図らくならないようにするためにこの量り方をしています。
別にこの方法でなくてもうまく量れる方法があれば何でも良いと思います。
【5】1斤型の食パン1本に使う生地は250g×2個です。山食と角食の合計2本分作るので、250g×4個の生地を分割して取ります。
●分割はなるべく1〜2、3回くらいで250gを切って取るのが理想ですが、慣れるまではなかなか難しいです。
しかし、250gがなかなか取れず、何度も生地を切っていると生地が傷んでしまいます。
250gが大体どのくらいの大きさか、手で持った重さはどんな感じか、感覚で覚えるように意識しながら分割してみてください。感覚がつかめれば少ない回数で生地を分割できるようになってきますので、是非、意識してやってみるのをおすすめします。
思った通りのgが一発で計量できた時は結構楽しいです。
【6】生地が分割できたら分割で傷んでいそうなところをなるべく下にして軽くまとめ、生地同士がくっつかないように手粉をつけて容器に入れて10分くらい休めます。生地が乾かないように密閉はせず、フタをかぶせておいてください。
食パン型の準備
食パンを焼くには必ず食パン型が必要なので、事前に用意しておきましょう。
今回は1斤型を使います。
成型に入る前に、分割した生地を休ませている間に、食パン型を準備しておきます。
食パン型に直接、成型した生地を入れると型に生地がくっついてしまって型からパンを出すのが大変になります。
一般的には型に油を塗ってから生地を型に入れるのですが、私の場合は油を塗る代わりに型にクッキングペーパーを敷いています。
毎回油をしっかり塗るのも油の消費が激しいですし、油を塗ってもパンが型にくっついて出せないという事態が頻繁に起きるので、クッキングペーパーを敷いて焼くやり方に変えました。
クッキングペーパーを型に合わせて切るのが少し手間ではありますが、使い捨てのクッキングペーパーでも汚れがひどかったり破れたりしない限りは何度か使えますし、油も消費しないので経済的だと思ってやっています。
食パンの型に敷く敷き紙の作り方
では食パンの型に敷く敷き紙はクッキングペーパーで作ります。
型に合わせて折ったりハサミで切ったりと少し工作が必要です。
特にコレといって簡単にできる方法はないですが、そんなに難しい作業でもないです。
【1】型を裏返して置き、型全体の大きさに合わせてクッキングペーパーを被せてカットする。
【2】型に合わせて手で折り目をつけて、しっかり折る。
【3】ハサミで4箇所切れ目を入れる。
【4】型にはめて出来上がり。
食パン型だけでなくてもパウンドケーキ型の型でも基本的に作り方は同じです。
食パンの成型の前に押さえておきたいポイント
型の準備ができたら、いよいよ成型です。
成型する時に私が心がけているポイントとしては2つ。
- 手粉は最小限に
- 麺棒は生地の両面にかけて均一に空気を抜く
これは食パンの成型だけでなく、全てのパンの成型で私が心がけていることです。
手粉は最小限に
成型時には生地が作業台・麺棒・手にくっつきやすい場合は生地を扱いやすくするためと生地が痛むのを防ぐために手粉を使っていきます。
しかし、手粉はつけすぎると生地同士のくっつきも悪くなり、焼き上がりのパンに空洞ができる原因になりますので、つけすぎは禁物です。
つけすぎた場合は払うなどして、最小限の手粉を使いながら成型を進めていってください。
とはいえ、私も成型はそんなに上手くなく、よく手粉をつけすぎてしまいます・・・。
まぁ不出来な成形のパンでも生地の味に変わりはなく(食感は違うかもしれませんが)、食べれますので多少の失敗はご愛嬌。
継続して作っていくうちに手粉の使い方に慣れていけば全然良いと思います。
麺棒は生地の両面にかけて均一に空気を抜く
麺棒の役割は生地を伸ばすだけでなく生地の中の空気を抜くという役割があると私は思っています。
なので、生地を伸ばしながら空気を抜くというのを意識して綿棒を使っていくのが良いと思います。
なるべく、生地の片面を麺棒で伸ばしたら、もう片面も同様に麺棒で伸ばす、という事を心がけて、表→裏→表→裏→・・・と交互に生地の両面を麺棒で伸ばしていく。
そうして生地を伸ばすことで均一に空気を抜きながら目標の生地の大きさ・長さを目指して伸ばすのが理想です。
生地の表裏を交互に空気を抜く事で生地も伸びやすくなります。
無理に片面ばかり麺棒で伸ばそうとするとなかなか伸びにくい上に生地も傷めやすいです。
意外と生地の空気を抜くのは難しいですし、結構力が必要です。
生地を傷めないようにしっかり空気を抜いて生地を伸ばしていく力の入れ方も継続していくうちに筋力もついて早くなりますし、コツもわかってくるようになります。
焦らず楽しみながら続けていれば少しずつ上達していくと思います。
食パンの成型から発酵
では、いよいよ食パンを成形していきます。
扱う生地量が大きいので、麺棒で伸ばすのに結構力が必要です。気合い入れていきましょう。
【1】作業台に手粉を薄く広げて、休ませた生地を出し、手で押さえながらしっかり空気を抜きます。この時は手粉は少し多めでも良いでしょう。
【2】麺棒で長さ25〜28cmくらいに伸ばします。幅は長さを伸ばしていくうちに自然と伸びるので14〜5cmくらいになります。よっぽど狭くない限り幅の方向に麺棒を使って伸ばす必要はないです。
【3】伸ばした生地を作業台に並行に置きます。端から利き手の親指の付け根の下の膨らんだ部分あたりで生地の3分の1くらい上を空気を抜くように押しながら折り曲げていきます。(自然と生地全体も少し伸びていきます。)
【4】生地を180度回転させて、今度は逆も同じように押さえていきます。この時、短い方の幅は7〜8cm(食パン型の短い方の幅)くらいを目指します。
【5】生地の長い方向に麺棒でしっかり空気を抜きながら35〜40cmくらいに伸ばしていきます。
【6】端からなるべく隙間がないようにくるくると巻いていきます。途中、巻き終わりになる端っこを軽く引っ張りながら巻くと生地が締まりやすいです。
【7】巻き終わりしっかりつまんで止めます。
【8】巻き終わりを下にしてこのまま型に入れていきます。
●成形した生地を型に入れる時は、入れる方向に注意してください。図のように閉じ目を下にして内側から外側へ巻く方向になるように入れてください。入れた後に、なるべく隙間がなくなるように生地を手で押さえてください。
【9】端っこは少し開けて、閉じ目を下に生地が内側から外側へ巻く方向に型に入れます。
【10】もうひとつの生地も同様に成形して型に入れて、なるべく隙間がなくなるように押さえます。これで食パン1本分出来上がりです。
角食も山食も成型の仕方は全く同じです。焼成時に蓋をするかしないかの違いです。なので、もう1本分も同じように成形します。
【11】発酵器に入れます。私はいつも温度35℃・60分で設定します。大体食パンの発酵には90分以上かかることが多いですが、夏場などは早い場合があります。60分から様子を見て、発酵が足りない場合は時間を足してください。
※発酵器がない場合は型が入る発泡スチロールの箱などにお湯の入ったコップなどを入れて蓋やビニールをかぶせ、温度と湿度を保ちます。温かい場所に置くなどしても良いと思います。生地が乾かないように工夫してください。
食パンの焼成
発酵できたら食パンを焼いていきます。
オーブンを180度に温めておいてください。
【1】発酵後の生地はこんな感じです。
●発酵の目安は型下1cmくらいまで生地が上がってきたらOKです。角食の場合は型から出てしまうと蓋ができなくなってしまうので注意してください。
※発酵の目安はあくまで目安です。小麦粉の種類などによっても変わります。釜伸び(オーブンに入れた後の生地の膨らみ)が良い小麦粉はもう少し低めでも良いですし、悪い場合はギリギリまで発酵させます。
【2】角食は蓋をして、山食はそのまま天板に乗せます。焼きむらを防ぐため、天板の端っこに型があたらないように、隣の型にもお互いがあたらないように隙間を均等にして乗せてください。
【3】オーブンで180度・35分〜焼きます。
【4】焼き上がった食パンはオーブンから出してすぐにガンッとショックを与えてから型から出します。
なので、焼き上がる前にショックを与えて型から出すスペースを確保しておいてください。
台に傷がいくなどの心配がある方はダンボールを敷くなど工夫してください。
【5】焼けたら両手にミトンをつけて、天板ではなく、食パン型を直接両手で持って1本ずつ出します。
出した時に台に型の底面をガンッと打ち付けてショックを与えてください。
ショックを与えたらすぐに型からパンを出してください。
食パン型を横にして揺らせばパンはすぐに出てくると思います。
もう1本も同様にします。
オーブンから食パンを出す作業はなるべく迅速にするのは鉄則ですが、慌てるのは禁物です。
くれぐれも火傷はしないように、慌てず、落ち着いて行ってください。
型に入ったパンは焼き上がりにショックを与える事でパンにシワがいったり腰が折れたりするのを防ぎます。
ショックと言っても力いっぱい思いっきりやる必要はないです。
5cmくらいの高さから軽く落とす程度で大丈夫です。
焼けた食パンはクッキングペーパーを外して、網の上で冷ましましょう。
パンの成型に関しては「イチバン親切なパンの教科書」という本が比較的わかりやすく丁寧に教えてくれています。
私も食パンの成型はこちらの本を参考にしながら成形しています。
食パン以外にも色んなパンの作り方を写真付きでわかりやすく紹介されているので、成形の仕方に悩んだ時など時々見返しています。
角食パンと山食パンの出来上がり
というわけで角食パンと山食パンが出来上がりました。
うーん、私的には見た目、まぁまぁの出来です。皆さんはどうでしたか?
私も全然下手っぴーなので今後も楽しくパンを焼き続けながらのんびり上達していきたいと思います。
焼けた食パンは冷めるまでは袋には入れずに、網の上で冷ましてください。
底面を触って温かくなければ冷めているサインです。
パンは素手で直接触ると触った部分にカビが生えやすいので、手を消毒したり、ビニール手袋をしたりしてから触る方が日持ちしやすいと思います。
冷めたら食品保存袋などに入れてパンの乾燥を防ぎましょう。
パン専用の袋も売っていますので、良かったら探してみてください。
気温にもよりますが、常温で焼成した日から3日間程度は日持ちします。
しかし、夏場の暑い日などで心配な場合や3日間では食べきれない場合はスライスして冷凍しておけば1週間くらい日持ちします。
パンは日に日に固くなりやすいので、焼成当日や次の日まではそのまま食べても柔らかいですが、その後は少しトーストしてから食べる方が、柔らかさが戻って美味しく食べられると思います。